オーストラリアに住みはじめてからより真剣に考えるようになった気候変動問題やゴミ問題。
特に使い捨てパッケージ未使用の量り売りスーパーマーケットの存在を知ってから、ゴミを出さない生活・ゴミゼロ・ゼロウェイスト(Zero Waste)を意識するようになりました。
自分が住んでいる地球を守らねば!と思い、まずは自分たちのライフスタイル全体を見直し、家でできるエコを考え、できることから少しずつやってみることに。
できるだけ地球にやさしい生活・できるだけゴミを出さない生活を実現するために家庭でできるエコ活動やわが家の取り組み、アイデアをまとめてみました(随時追記)。
目次
ゴミを減らすためのキーワード
ゴミを減らすためのポイントとしてよく聞く3Rや4R、5Rって具体的にどんなもの?ということでその内容と意味を簡単にまとめてみました。
3R(スリーアール)
- Reduce(リデュース):減らす
- Reuse(リユース):再利用する
- Recycle(リサイクル):再資源化する
4R(フォーアール)
- Refuse(リフューズ):断る
- Reduce(リデュース):減らす
- Reuse(リユース):再利用する
- Recycle(リサイクル):再資源化する
5R(ファイブアール)
5Rその1
- Refuse(リフューズ):断る
- Reduce(リデュース):減らす
- Reuse(リユース):再利用する
- Repair(リペア):修理する
- Recycle(リサイクル):再資源化する
5Rその2
実際にゴミゼロ生活を実践している一家の『Zero Waste Home』の本には以下のように書かれています。
Cutting waste in a household is quite simple if you follow these five easy steps: refuse what you do not need; reduce what you do need; reuse what you consume; recycle what you cannot refuse, reduce, or reuse; and rot(compost) the rest.
- Refuse(リフューズ):断る
- Reduce(リデュース):減らす
- Reuse(リユース):再利用する
- Recycle(リサイクル):再資源化する
- Rot(ロット): 堆肥化する
のステップに従えばゴミを減らせますよ、とのこと。
5Rその1の「Repar(リペア):修理する」の代わりに「Rot(ロット): 堆肥化する」が入って5Rという感じです。
5Rその1 + 5Rその2 = 6R(シックスアール)
「Repar(リペア):修理する」も大事。「Rot(ロット): 堆肥化する」も大事。
なんだかややこしいので、わが家ではまとめて6R(シックスアール)で取り組んでみることにしました。
- Refuse(リフューズ):断る
- Reduce(リデュース):減らす
- Reuse(リユース):再利用する
- Repair(リペア):修理する
- Recycle(リサイクル):再資源化する
- Rot(ロット): 堆肥化する
大切なのはリサイクル(再資源化)前のステップ
『Zero Waste Home』によるとゴミを減らすためには
- Refuse(リフューズ):断る→いらないものを家に持ち込まない
- Reduce(リデュース):減らす→無駄な買い物を減らす
- Reuse(リユース):再利用する→くり返し使う
などリサイクル(再資源化)前のステップを徹底することが大切なんだそうです。
ゴミを減らすためにはとにかくリサイクル!と思っていたのでこれを読んでハッとさせられました。
そもそも回収されたリサイクルゴミ全部が本当に再資源化されるかどうか分かりません。また再資源化するためには多大な費用とエネルギーが必要になります。
なのでリサイクル(再資源化)はあくまでも最終手段として考え、最初からできるだけゴミが出ないように工夫することが大切なのではないかと思います。
1.Refuse(リフューズ):断る
ポイント
- 不要なものをもらわない
- 余計なものを買わない
- いらないものを断る
など。
実践していること・心がけていること
- レジ袋をもらわない
- 過剰包装を断る
- ブックカバーを断る(日本)
- 使い捨てフォークやスプーン、割り箸などを断る
- タダだからといって使う予定のない無料配布品をもらわない
- 安いからといって使わないものを買わない
- 安いからといって大量に買わない
- 不要なものを買わない
など。
週末の食材の買い出しにはエコバッグ・マイバッグを持参。
週末の食材まとめ買い以外の小さな買い物に備えて、バッグの中に持ち歩きに便利な折りたたみエコバッグを入れておいたり。
何か買うときは「本当に必要なのか?他のもので代用できないか?」、料理するときや食べるときは「本当にこんなに食べられるのか?」とちょっと冷静になって考えてみたり。
安いからという理由だけでたくさん買ったり、タダだからという理由だけでいらないものをもらったりしないように心がけています。
2.Reduce(リデュース):減らす
ポイント
- 生活に必要なものを減らす
- 長持ちするものを選んで買い替えの頻度を減らす
- 無駄な買い物を減らす
- 使い捨てを減らす
など。
実践していること・心がけていること
- 生活に必要なもの・持ち物を見直す
- 生活に必要ないもの・使っていないものを減らす
- 本当に必要なものだけ買う
- 長持ちするもの・長く使いたいものを選ぶ
- ものを長く大切に使う
- くり返し使えるものを使って使い捨てを減らす
- できるだけパッケージ・包装なしの商品を買う
など。
色移りや匂い移りが気になる上に長持ちしないプラスチックではなく、パイレックスやイワキなど丈夫で長持ちする耐熱ガラス製の保存容器やメジャーカップを使ったり。
ラップの消費量やラップゴミを少しでも減らすために、電子レンジで温めるときはラップいらずでくり返し使えるカバーを使ったり。
「Refuse(リフューズ):断る」と共通する部分があるけれど、一旦冷静に考えて本当に必要なものだけ買ったり、できるだけパッケージ・包装なしの商品を選ぶように心がけています。
断捨離(だんしゃり)チャレンジ
まずは生活に必要なもの・持ち物を見直すために巷で流行の断捨離(だんしゃり)にチャレンジ。
衣類や雑貨、食器、家具、家電などいろいろ見直して
- なくても生活できる=いらない
- 使っていない=生活に必要ない
という感じでものを減らしていくことにしました。
で、わたしの場合はものを減らしていく過程で
- 「セールでお得だからとりあえず買っておこう」と思って買った服は出番が少ない
- 「安いし、好きな形・素材だから念のため色違いで買っておこう」と思って買った服は出番が少ない
- 結局いつも同じような服ばかり着ている
- 「いつか着るかもしれない」の「いつか」はこない
- 「いつか使うかもしれない」の「いつか」はこない
- 「もったいない」と言いながら使わずにただ保管している方がもったいない
といった点に気がつきました。
気づくのがちょっと遅い、やっと気づいたねって感じです。よくこんなに無駄な買い物をしたもんだなぁと自己嫌悪に陥りました。
でもこれも大きな進歩。今までの無駄な出費は授業料ということで「同じ失敗をくり返さないぞ!」と心に誓いました。
ゴミを増やさない「いらないもの」の処分方法
生活に必要なもの・持ち物を見直した後は、生活に必要ないもの・使っていないものを減らす=処分するだけです。
でもこんなに無駄な買い物をした上に、生活に必要ないもの・使っていないもの・いらないものをゴミとして捨てるのはいかがなものかと。
- ただ減らせばいい
- ただ持ち物を少なくすればいい
- ただ捨てればいい
ではなく、生活に必要ないもの・使っていないものをどう減らすか、どう処分するか、ゴミを増やさない具体的な処分方法を考えることも大切です。
ものを減らすことも大事!同時にゴミを減らすことも大事!
というわけでわが家では
- 物々交換する
- 寄付する
- 売る
- 譲る(あげる)
などゴミを増やして環境に負担をかけるのではなく、不要なものを使ってくれる・必要としている誰かの手に渡るように心がけています。
「物々交換する」は、厳密には「減らす」という意味にならないかもしれないけれど、自分にとって不要なものを減らして必要なものを手に入れるというイメージです。
「寄付する」は、オーストラリアにはオプショップと呼ばれる「寄付する→低価格で売る→収益は慈善事業へ」といったチャリティショップがあるのでそこに寄付することができます。
「売る」は、ネットで売ったり、フリマに出店したり、家の前でガレージセールしたり。
「譲る」は、必要としている人がいたら無償で譲る・あげる、という感じです。
極端にものを減らしすぎると反動がくる
ものを減らすと家も気分もスッキリ!
でもわたしの場合、極端にものを減らしすぎたせいか
- 「もっと減らさないと!」とちょっとした強迫観念にかられるようになった
- 買う=ものが増えると「また増やしてしまった!」という罪悪感を抱くようになった
- どれだけ減らせばいいのか分からない
- どれだけ減らせば合格ラインなのか分からない
- 思うようにものが減らせない
- これ以上減らせない
- どうしても捨てられないものがある
という感じで「自分たちの生活に必要かどうか」を考えるのではなく、いつしか減らすこと自体が目的となってしまい、なんだか行き詰ってしまいました。
で、そのうちどうでもよくなってまた無駄な買い物をしたり。「あれもこれも欲しい」と欲張りになったり。無理な食事制限をした後のドカ食いみたいな感じになりました。
で、やっぱり自分はものを持たない生活やミニマリスト生活の実践は無理だなぁと。
「ものが少ない方が幸せ」なんて風潮もあるし、なんとなく分かる気もするけれど、趣味や好み、家族構成、家の広さ、大切にしているものもみんな違う。
ものが多くてもそれがその人にとって大切なものであるなら多少執着してもいいんじゃないかと。他人ではなく、自分がどう思うか、どう感じるか。
潔く捨てられない自分はダメ人間だ!ものに執着している!なんて思った時期もあったけれど、好きなもの・大切なものを無理して手放す必要はないのではないかと。
大切なものを大切にすることはすばらしいこと!安易に捨てるなんて言っちゃいけない!と思うようになりました。
そんなわけでものを極端に減らしすぎると反動がくるので
- 無理しない
- 逃げ場も必要
- 減らせばいいってもんじゃない
- 好きなものはあきらめなくてもいい
という感じで取り組むことにしています。
3.Reuse(リユース):再利用する
ポイント
- 再使用する
- くり返し使う
- 別の用途に使う
など。
実践していること・心がけていること
- フリマやリサイクルショップを活用する
- 古着・着なくなった服をリメイクする
- 古着や古いタオル、古い靴下、古い歯ブラシなどを掃除に活用する
- 空き瓶や空き缶などを小物入れとして活用する
- お菓子の袋や予定していなかった買い物でもらったレジ袋などをゴミ袋として活用する
- 使い捨てずにくり返し使う
など。
あっという間に着られなくなってしまう子供服は、たまに新品という感じで基本的にはおさがりやフリマ、リサイクルショップで調達。
大人用Tシャツを子供用のTシャツにリメイクしてみたり。着なくなった大人服を子供用のショートパンツや長ズボンにリメイクしてみたり。
小さく切った古着や古くなった靴下なども掃除に活用しています。
「使い捨て」の代わりに「くり返し使う」範囲を増やす
- エコバッグ・マイバッグを使う
- 水筒・マイボトルを持ち歩く
- 充電池を使う
- 紙ナプキンやコットンの代わりにミニタオルを使う
- 布おむつを使う
- 布おしりふきを使う
など、生活全体を見直して「使い捨てずにくり返し使う」範囲を少しずつ広げていった結果、次第に使い捨てないことが生活の一部になってきた感じです。
出かけるときは必ず水筒を持参。オーストラリアは日本と比べると缶・ペットボトル飲料の値段が高く、自動販売機やコンビニの数が少ないので水筒がないと困ります。
乾電池は使い捨てから充電式に。1000回以上充電できるものもあるので長く使えて経済的です。電池の「念のため買い」が減って、電池の保管もかなり楽になりました。
紙ナプキンやキッチンペーパー、ティッシュなどの代わりに洗ってくり返し使えるミニタオルを設置。衛生面も大切なので紙と布を状況に応じて使い分けています。
長く続かないだろうなぁと思っていた布おむつや布おしりふき。かわいいのでコーディネートするのが楽しくなります。
くり返し使えるものは使い捨てに比べると初期費用がかかってしまうけれど、長い目でみると経済的だという印象です。特に消耗品は家計にもやさしいのではないかと。
が!わたしの場合、ストイックになりすぎると続かない・どこかで爆発するタイプなので、どれもこれも無理しない程度に実践することにしています。
暮らしの中に再利用アイデア・リメイクアイデアを増やす
ブカブカの男性用Tシャツを袖・襟・裾カットで簡単リメイクしてみたり。手縫いやミシンで裾にギャザーを寄せてちょっとイメチェンしてみたり。
切りっぱなしでもほつれないTシャツをリメイクしてバッグや巾着袋、スヌードなどを作ってみたり。
着なくなったワンピースやニットなどの古着をリメイクしたり。
空き缶で新しい電池と古い電池の仕分け容器を作ってみたり。
マスタードの空き瓶に小物を入れたり。
Be creative. Figure out what you can use in different ways.
『Trash is for Tossers.』でもクリエイティブになれといっているので、再利用・くり返し使うアイデアをもっと増やしていきたいところです。
4.Repair(リペア):修理する
ポイント
- 壊れたら修理する
- 修理しながら長く使う
など。
実践していること・心がけていること
- すぐに捨てずに修理できるかどうか考えてみる
- 自分たちで修理できるかどうか考えてみる
- 服やカバン、ぬいぐるみなどの穴・破れを縫って補修する
- おもちゃを修理する
- オイルフィニッシュやペンキ塗りで家具を復活させる
- 壊れても修理しながら長く使いたいものを選ぶ
- 修理した後も大切に使う
など。
「オペに入ります」と言いながらぬいぐるみを縫ってみたり。
オイルフィニッシュで木製家具を復活させたり。
リペアの範囲を超えているかもしれないけれど壁の穴・キズを補修したり、ペンキを塗って室内壁や家具をリフォームしたり。
最初は面倒くさいなぁと思っていても、実際にやってみるとほんの少しの手間と時間で修理できたりするもの。
何かが壊れても「面倒だから放置しておけばいいや、捨てればいいや、新しいのを買えばいいや」が当たり前になってしまっていたことをちょっと反省しました。
修理しながら長く使うとさらに愛着がわいてくるのでまた不思議です。
5.Recycle(リサイクル):再資源化する
ポイント
- 不要になったものを資源として再生利用する
- 自治体の分別ルールを守る
など。
実践していること・心がけていること
- リサイクル可能なものを選ぶ
- リサイクル可能なパッケージ・包装の商品を選ぶ
- 自治体のゴミ分別ルールを確認する
- 自治体のゴミ分別ルールを守る
- フェンスなどの大物系は自治体が指定するリサイクル場に持っていく
- スーパーなどに設置されているリサイクルボックスを活用する
など。
パッケージや予定していなかった買い物でもらったレジ袋をスーパーに設置されているリサイクルボックスに入れたり。
古い乾電池や使えなくなった充電池を電池回収ボックスに入れたりしています。
6.Rot(ロット): 堆肥化する
ポイント
- 堆肥化(コンポスト化)する
実践していること・心がけていること
- 生ゴミなどをコンポスターを入れて堆肥を作る
- 生ゴミが出ないように野菜の切り方や調理方法を工夫する
生ゴミ堆肥作りと一緒に苦手なガーデニング・家庭菜園にもチャレンジ!生ゴミを有効活用すると同時に食材を有効活用する方法も学んでいきたいものです。
その他
- ソーラーパネルを設置する
- 雨水をためる
- 古いものを大切にする
- ペンや洗剤などを最後まで使い切る
- 環境にやさしい洗剤を選ぶ
- 動物実験していない化粧品を選ぶ
- 土に還る素材・生分解性のプラスチックを選ぶ
- 車に乗らない日を設けて排気ガスを減らす
- 飛行機に乗るときはゴミを減らて食べ物を無駄にしないようにする
- 発展途上国に対してできる限りの支援をする
など「できるだけ」「できる限り」の範囲ではあるけれど、できることを少しずつ実践しています。
晴れの日が年間300日以上といわれる地域に住んでいるので「太陽光を活用しよう!」ってことでソーラーパネルを導入。「太陽の次は雨だ!」ということで雨水もためています。
夫のおばあちゃんが孫のために作ってくれたクロスステッチや手編みのブランケット、夫が小さい頃使っていたマグカップなども大切に使っています。
日本に一時帰国したり、夫の家族がいるカナダに行ったり、どうしても飛行機移動が避けられないので、温室効果ガスを排出している分、ゴミや無駄を増やさないように心がけています。
気候変動などの影響で最終的に大きな被害を受けるのは発展途上国。先進国に住んでいる1人としてできる限りの支援をしていきたいなぁと考えています。
まとめ
ゆっくり少しずつだけれど、だいぶ浸透してきたなぁと思います。
家庭でちょこちょこやってみたところで地球規模の気候変動問題を解決することはできないだろうけれど、日々のちょっとした心がけや小さな積み重ねがいつか大きな変化につながるかもしれないなぁと。自分が住んでいる地球をもっと大切にしないと!
「本当に必要だろうか?」「別のもので代用できないだろうか?」「このゴミはこれから何年土の中に残るんだろうか?」と考える癖がついたことも大きな進歩です。
ただ、ちょっと気が緩むと全然ダメなので気をつけなければいけません。
ゴミを出さない生活を実現している人たちの好みや考え方、方法などは人それぞれだけれど、共通点はみんな最初からゴミゼロ生活をしていたわけではないということ。
みんな試行錯誤をくり返して段階をふみながら2~3年かけて現在のゴミを出さないライフスタイルを築いていったそうです。
生活習慣や趣味、好み、家族構成、土地柄、文化によっても異なるので、参考になるヒントやアイデアを自分たちの生活の中でどう活かしていくか、といったあたりがポイントかなぁと。
日々の生活、ライフスタイルそのものが地球環境に影響を与えているよ、ということを肝に銘じつつ、日々の忙しさや疲れをいい訳にしている間も見えないところで環境問題がどんどん進行していることを忘れずに地球にやさしい生活を築いていきたいものです。
ゴミを減らす小さな一歩!