大気汚染が深刻化するパリでは市長が「2020年までにディーゼル車廃止」の考えを明らかにしたそう。
ここ数年で自家用車を持たない人たちの数も大幅に増加している様子です。
『SankeiBiz』パリ市長、20年までにディーゼル車の一掃目指す 自動車依存から脱却
ついでにロンドンも便乗するかも的な。
『The Telegraph』London will follow Paris and ban diesel cars, campaigners warn
車がないと生きていけないといわれる車社会オーストラリア。
ディーゼル車どころか普通車も運転しないわたしにとって、なんとなく嬉しいニュースです。
そんなわけでこのような世界の動きに便乗して、この車社会で意地でも運転しない理由を備忘録として残しておきたいと思います。
目次
わたしの人生と車
車に縁がない
- 日本の運転免許を持っていない
- 日本で教習所に行ったことがない
- 30代半ばになるまで運転したことがない
- 人生初の運転はオーストラリア
日本の免許は持っていないけれど一応オーストラリアの運転免許は持っている、という感じ。あくまでも一応です。
運転できないという理由で周りから言われて傷ついたこと
オーストラリアに住みはじめた当初は「こんな運転が荒い人間だらけの国で誰が運転するものか」と心に決めていたものの、周りのお節介おばさん連中にいろいろ言われたことで免許取得を考えるようになりました。
例えばこんな。
- 自立していない
- 行動範囲が狭くなる
- 車の運転ができない人間はどんな会社にも雇ってもらえない
- 車の運転ができないなんて恥ずべきこと
なんだか自分を全否定されたような気分になりました。それはもう悔しくて悔しくて。
免許は必要なかった
いろいろ言われて傷ついたけれど、ここには書けないような言葉を心の中でつぶやきながら
- 車の運転ができない=自立していないという意味が不明
- 車に比べたら不便かもしれないけれど公共交通機関が利用できる
- 車の運転ができなくても就職できた
- 車に頼りすぎて運動不足や怠惰な生活になるよりマシ
と強気で乗り越えました。誰に何と言われようと当時の自分には免許なんて必要なかったからです。
危険いろいろ
運転が荒い人が多いことも運転する気になれなかった理由のひとつです。
- 民家やレストランに突っこむ事故がやたらと多い
- 間違ってトラム線路の上を走行する人がいる
- 若者による無謀な運転が多い
- 金銭的な理由から保険加入していないのに危険な運転をする人たちがたくさんいる など。
夫は赤信号で停車中、前の車が突然リバース。自分の後ろにも信号待ちの車がいたので思うように身動きできず、ぶつけられたことがあります。車を降りて文句を言いに行ったところ、返ってきた答えは Sorry I had a bad day。
先日はショッピングセンターの駐車場で突然出現したワイパーに驚き、Help me!と叫んでいるおばあちゃん目撃。
若者の無謀な運転が原因で知り合いのご家族も亡くなりました。
ぶつけられても、ぶつけた相手が保険加入していない場合は最悪です。
小心者のわたしは怖くて運転できません。
身分証が欲しかった
そんなわたしが免許取得に踏み切った理由はパスポート以外の身分証が欲しかったから。
とりあえず筆記試験だけ受けることにしました。
州によって多少の違いこそあれオーストラリアで運転免許を取得する流れはこんな感じです。
Queensland州 運転免許取得の流れ
『Queensland Transport and Main Roads』
1. Learners Licence
通称「ラーナーズ」といわれる免許。
ルールや標識などについての筆記試験を受けて合格すれば取得可能。わたしでも満点が取れるくらい簡単なテストです。
スーパーバイザーとしてOpen Licence保持者が助手席に座っていればラーナーズでも運転することができます。
2. Provisional (P1/P2) licence
通称「Pプレーター」といわれる免許。
25歳未満の若者は赤いPプレート・25歳以上は緑のPプレートです。
運転の練習~いきなり路上
無事にラーナーズ免許を取得し、パスポート以外の身分証も入手。
ある程度の運転経験を積んで路上試験に合格すれば晴れてPプレーターになれるけれど、そもそも教習所のような施設がないので運転の練習はいきなり路上です。
具体的には
- 自分でインストラクターを手配する
- 身近なOpen Licence保持者にスーパーバイザーとして助手席に座ってもらう
といった感じで指導を受け、運転の経験を積んでいくことになります。
つまり「路上試験前にある程度の運転経験を積む」といったあたりがものすごく大変なのです。
いくらなんでもいきなり路上デビューはハードルが高すぎる。
というわけで「どうせ運転しないから練習なんかしなくていいや」という気持ちのまま数年経過し、最終的に路上試験を受けたのはラーナーズ免許を取得してから5年後となりました。
- 2008年8月 ラーナーズ取得
- 放置
- 2011年 ラーナーズ更新(更新料払うだけ)
- また放置
- 2012年7月 路上ドライビングレッスンスタート
- 2013年前半 つわりのためレッスンお休み
- 2013年6月 レッスン再スタート
- 2013年7月 路上試験
路上デビュー前のわたし
ラーナーズ免許が取得できたので大満足だったけれど、夫に説得され一応運転の練習をしてみることに。
スーパーバイザーとして助手席に座る夫に腹が立って仕方なかったのでインストラクターを手配して練習することにしました。
- どのように車を発進させるのか分からない
- ブレーキとアクセルの違いや役割が分からない
- オートマとマニュアルの違いが分からない
- みんなが同じような車間距離を保っていることが不思議でならない
かなり絶望的なレベルです。で、いきなり路上デビュー。わたしはあの日を忘れません。
運転の練習に励む日々
「鍵入れる→ ブレーキに足 → 鍵回す → DまたはRにして進む」を呪文のように唱えつつ、出勤前の1時間をインストラクターとのレッスンに当てて運転に励む日々がつづきました。
- ブレーキとアクセルを踏み間違えたり
- 反対車線を走ってインストラクターを驚かせたり
- 得意の直線でスピードを出しすぎて何度も怒られたり
と失敗しながらも、いつしか「運転て楽しいかも」とまで思えるように。
いよいよ路上試験
リラックスしながら運転できるようになり、インストラクターともいい関係が築けてきたのでいよいよ路上試験を受けることにしました。ちょうど妊娠36週あたりです。
まんまと落ちました。
当日は落ち着いてリラックスしていたものの、なぜか「女性試験官はイヤだな」という気分。
直感というのは当たるもので、普段はいないけれどその日たまたまいた女性試験官に当たってしまいました。
自分のイヤな直感が当たってしまったこととものすごく感じの悪い試験官に気が動転。落ち着いて運転することができずに路上試験終了。
合格するだけの実力が自分になかっただけとはいえ
- あんなにお金と時間を費やしてこれかよ
- 試験受けるためだけに$200以上払ってこれかよ
- 大きなお腹でがんばってこれかよ
とやさぐれること数日間。涙で枕を濡らす日々がつづきました。
運転しない理由
お金と時間を費やしてきたし、子どもが生まれたら練習する時間の確保もできないだろうから、もう一回だけ試験を受けてみようか。
いろいろ悩んだけれど結局出産前は2回目の試験を受けないことにしました。
子育てが落ち着いたら受けようか、なんてことも一瞬考えたけれど縁がないものだと思ってあきらめることに。
あんなに怖かった運転、大嫌いだった運転にチャレンジした。やるだけのことはやったじゃないか、と。
- 車1台あたりの諸費用(登録料、保険料、ガソリン、メンテナンス、なんとか税等)が高すぎる
- 車は1台あれば十分
- 車が1台・免許がないという状況でも全く不便を感じていない
- 他の車を買う予定も必要性もないのに免許だけ取るのは無意味
- 子どもを後ろに乗せてビクビクしながら運転するのは危険
- バスやトラムなど公共交通機関がある
- ウォーキングや自転車などいくらでも手段がある
- 温室効果ガス排出量を減らしたい
というわけで将来車を運転している自分の姿を描くことができないため、わたしの人生には不要と判断しました。
まとめ
お金を無駄にしないため。環境に負担をかけないため。どちらかといえば車より自転車にお金をかけたい気分です。
この先どんなにバカにされようが、お節介おばさん連中に嫌味を言われようが、わたしは意地でも運転しません。
一生ラーナーズとして生きていくことにします。